今宵、キミが砕け散る
リビングのドアを開けると、もうすでに、嶺緒、都司、美苑、佐城は起きていた。嶺緒はいつも通りキッチンに立って朝食を作っていた。
優香と加賀美が遅いのは、なんだか納得がいく。
「おはよー」
彼らに声をかけると、口々におはよう、と返してくれる。それが新鮮で笑みが溢れそうになった。
「優香、まだ寝てるか?」
「うん、まだぐっすり」
優香のことが本当に大好きなんだと伝わってくる。
あー、なんか。やっぱり都司可哀想だな。
そんなことをしみじみと思っていると、
「琴瀬さん、目、真っ赤ですよ?」
美苑に言われ、自分がコンタクトをしたまま眠っていたことに気がついた。
「本当だ。琴ちゃん、目、擦ったりしたの?」
「あー、うん。そんな感じ。ちょっと顔洗ってくるね」
半ば、逃げるようにリビングを出て、洗面所に、向かう。
鏡に写った自分の目は、確かに白目のところが真っ赤になっていた。