今宵、キミが砕け散る




 リビングのドアを開けると、もうすでに、嶺緒、都司、美苑、佐城は起きていた。嶺緒はいつも通りキッチンに立って朝食を作っていた。



 優香と加賀美が遅いのは、なんだか納得がいく。



 「おはよー」




 彼らに声をかけると、口々におはよう、と返してくれる。それが新鮮で笑みが溢れそうになった。




 「優香、まだ寝てるか?」



 「うん、まだぐっすり」



 優香のことが本当に大好きなんだと伝わってくる。



 あー、なんか。やっぱり都司可哀想だな。



 そんなことをしみじみと思っていると、



 「琴瀬さん、目、真っ赤ですよ?」



 美苑に言われ、自分がコンタクトをしたまま眠っていたことに気がついた。



 「本当だ。琴ちゃん、目、擦ったりしたの?」



 「あー、うん。そんな感じ。ちょっと顔洗ってくるね」



 半ば、逃げるようにリビングを出て、洗面所に、向かう。



 鏡に写った自分の目は、確かに白目のところが真っ赤になっていた。


< 268 / 324 >

この作品をシェア

pagetop