今宵、キミが砕け散る




 「っ……!」




 無意識に動いた私の身体は、佐城の手首を掴んで洗面所に引き込んだ。




 反対の手で、口を塞ぎ睨むように自分より背の高い佐城を見上げる。




 「……見た、よね」




 私の問いに、佐城は小さく頷いた。




 手を佐城の口から離して、少し距離をとる。まだ、驚いた様子の佐城はその顔に困惑の色を見せていた。





 「琴ちゃん……。それって、」



 「……内緒、ね?」





 人差し指を口に当てて首を傾げる。





 「なら、説明。してくれるよね?」





 ニッコリと。まるであの、美苑の笑ってるのに笑っていない顔で佐城はいった。






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