今宵、キミが砕け散る
* * *
「ごめんね〜、宵ちゃん!なんか宵ちゃんの匂い安心してすごい寝ちゃったよ!」
リビングへと続く廊下で、優香は乱れた髪を手櫛で整えながら言った。
「うん、大丈夫だけど……。ちょっと怖いよ」
「へへ。私ね、匂いフェチなんだよ〜」
恭ちゃんの匂いも好きだなぁーと、朝から相変わらずな様子で笑みを浮かべている。
「ああ、そうなんだ……」
匂いフェチというところにどういう反応を示していいか分からず苦笑いを溢した。
「おはよう、皆!嶺緒さんもおはようございます!」
リビングには、もうすでに席に着いている加賀美がいて、机の上に置いてある料理をキラキラと目を輝かせて見ていた。
「あ、来た!早く、嶺緒さんの料理めっちゃヤベェよ!!」