今宵、キミが砕け散る
加賀美に詰め寄る優香は、頬を膨らませて怒っている様子だった。
「……まぁ、そういうことなら、星と真紀、2人と一緒にいてくださいね」
「わ、私も会いに行くから!授業の間休み、毎回会いに行くからね!」
「優香、それは駄目だ。琴瀬との関係はなるべくバレないようにしないと行かないからな。そんなに寂しいなら、俺と一緒にいればいい」
都司に頭を撫でられた優香は、昨日のことを思い出したのか、顔を真っ赤にして頷いた。
「優香……、ちょっとこっち来て」
手招きをして優香を呼べば、私に駆け寄ってくる。まるで飼い慣らされた犬みたいだ。
「今日、言うんだよ?『キスして』って」
「へっ、今日!?」
「じゃ、頑張れ!」
そう言って、私は優香達から離れて一人で学校に向かった。