今宵、キミが砕け散る
動きたくても動けない。それは、顔も知らないこれからレイプされるであろう女よりも、東の方が大事だからだ。
俺がここであいつらを殴ってでも止めるというのなら、迷惑がかかるのは東だ。それに、俺も無傷では帰れない。
俺は無慈悲な人間じゃねぇ。ただ、目の前のモノだけしか、守ってねぇだけだ。
そんなことを、ここに来て何度思っただろうか。
イかれた奴らの中に、1人放り込まれるってのは、結構辛いモノだ。
倉庫から出て行くもう名前すらも忘れた北のメンバーの後ろ姿を見ながらはぁ、と溜め息をついた。
でも、この糞な生活も、慣れて来た北の日常も、もうすぐ終わる。
「新しい姫ってのも、興味あるしな」
渚情報によれば、芹と星がその新しい姫って子を気に入っているらしい。
「あー。早く、戻りてぇな……」
あいつらの顔を思い浮かべただけで、笑みが浮かぶ。疲れが吹っ飛んだ気がした。
言ってやらねぇけど、やっぱり俺の居場所はアソコなんだと、この1ヶ月で思い知った。