今宵、キミが砕け散る





 「あ……?琴瀬ー、久しぶりだなぁ?」





 教室に入ると、篠、……篠田?先生が私を見てニッコリと笑みを浮かべた。






 「そんなに数学嫌いかぁ?俺は寂しいぞー」





 明らかな棒読みに、私は苦笑いで返した。






 「あははー。お久しぶりでーす」






 心の中で、絶対ブラックリストに載っちゃってるだろなんて思いながら席につく。






 隣の席の星と、後ろの席の真紀はもうすでに来ていた。





 だか、授業を受けていたわけではなく、星はただぼーっと外を眺め、真紀は机の下でゲームをしていた。






 机の上には、一切の教科書が出されていない。







 「宵、やっほ」





 「お前俺より遅いとかどんだけ寝てたんだよ?」
 






 朝から相変わらず爽やかな星と、少しムカつく真紀。真紀には、優香に向けるあの優しさを私に見せて欲しい。






 「違うよ、聞かなかったの?優香とお泊まり会してたの。もちろん都司達もついて来たけどね……」






 ああ、帰ったら確実に嶺緒からの説教タイム、嫌だ……。





 
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