今宵、キミが砕け散る



「そ、そうだったんですね……。失礼しました!」



逃げる様に去った女の人。彼女の背中が見えなくなると、星はチッと小さく舌打ちをした。



「……大丈夫?」



心なしか、顔色が悪いような気がしてそう聞けば星は苦笑しながら頷いた。



「宵にさ、話したじゃん。お母さんのこととか」


「うん……」


「いつまでもこのままじゃダメだなって、気が付いたんだよ。……なんだけどさ、やっぱり皆重なるんだよ」


「お母さんに?」


「そう……、だね」



歯切れの悪い返事に、首を傾げる。

……まだ、何かあるのかな?そう思ったけど無理に聞き出しても……と思って口を閉じた。



「って……ごめんね。せっかく『デート』なのにこんな話し。ケーキ食べよっか」


「え、?あ、うん。そうだね」



何故かデートという言葉を強調して言った星は、もう既にケーキを口に運んでいた。



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