今宵、キミが砕け散る

神崎 優香 side



私は1人、サングラスの下で焦っていた。



「うん、これ凄く美味しい。宵も食べる?」


「え、いいの!?食べる!」



そんな声が聞こえて、いよいよ肩身が狭くなる。


隣には優雅にコーヒーを飲む恭ちゃん。渚くんはもう飽きてしまったのか、ケータイを煽っている。



「あわわわわ」



しーちゃんは、いわゆる『あーん』をする宵ちゃんと星を真っ赤にしながら観察。


そして、芹くんはと言うと……。



「ん……!ホントだ、めっちゃ美味しいね!こっちも美味しいよ、ほら」


「……うん、甘いね。美味しいよ。ありがと」



イチャラブイチャラブ……自分達がどれだけ視線を集めているのかなんて気づいてすらいなさそうな2人。宵ちゃんの食べているケーキよりも甘い、甘ーい雰囲気を醸し出しながら話しているのを、すごくいい笑顔で見ていた。



ああ、居た堪れない。


そして、居心地が悪過ぎる。


ついでに言うと、芹くん怖いです。



そもそもこんな状況になったのは、私の発言が悪かったのだけれども。




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