今宵、キミが砕け散る
放課後が待ち遠しかった。昼休みに会えなかった分、宵ちゃんが足りない。
しーちゃんが余計なことをいったから……!朝はそう思っていたけれど、宵ちゃんだけがいない溜まり場で、芹くんが「勉強は学生の本分なんですから。嶺緒さんの言っていたことは正論ですよ。それに、それが彼女の親御さんの教育方針なんですから。口出しするのはいけないですよ」……なんて、めちゃくちゃ正論を言われてぐぅの音も出なかった。
「あー……」
宵ちゃんが朝に言っていた、恭ちゃんとキスをするミッションは今日は辞めておこう。
もしも、宵ちゃんになんでやらなかったの?って聞かれたら、「恥ずかしかった」じゃなくて「宵ちゃんがいなかったから私は力が出なかった」そう言ったら宵ちゃんは苦笑いで許してくれると思う。
それに、別に今日じゃなくてもいいんだ。
だってファーストキスは、学校じゃなくてもっと、ロマンチックな場所の方がいいでしょ?
なんでだろ……。宵ちゃんがいないと、何もやる気が起きない。
少し前の日常に戻っただけなのに、この短時間で私にとって、私たちにとって宵ちゃんは物凄く大きな存在になっていたんだと気づいた。
やっと放課後だと、寝っ転がっていたソファから勢いよく起き上がる。
迎えに行きたいところだけど、行ったら怒られてしまうから私は溜まり場のドアから顔を出して宵ちゃんを今か今かと待っていた。
なのにー……。
「あ、今琴ちゃんからメールきたんだけどさ、今日星と放課後出かけるから溜まり場来ないって」