今宵、キミが砕け散る

 宵の、抱えてるものを一緒に背負ってやりたいって、思うんだ。

 まだ僅かに震えている宵が、ぽつりと、小さな声で話す。

 「わかん、ない」
 「何が?」
 「私が、私は、人に助けを求めていい人間じゃない」

 その言葉が、助けを求めているように聞こえるのは俺だけだろうか。

 「嶺緒が、一緒にいてくれたら、それでいいから」

 違うんだ。
 どうしてそこまで、一人で背負い込もうとする?

 「それだけで、頑張れるよ」

 
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