今宵、キミが砕け散る



「ええ!?」



いつも通り片手にケータイを持って足を組みながらソファに座る渚くんがそう言った。



「うおっ!ひ、姫ちゃん……?」



渚くんのケータイを奪って画面を見れば、確かに宵ちゃんからそう書いてあるメールが届いていた。



「なんでぇ……」



待ってたのに……。会うって約束をドタキャンされて、少し悲しくなる。


そ•れ•に!!


どうしてメールを、私じゃなくて渚くんに送るの!?


同時に、ちょっとムカつきもした。


内心、自分すごいめんどくさい女じゃんって思ったけど、いや実際にそうなんだけどもさ……。初めての女友達だからそこは見逃して欲しい。



「宵ちゃんのバカ……!」



半ば叫ぶ様に言った私を、恭ちゃん達が驚いた様に見る。


こうなったら……!



「恭ちゃん達!私は宵ちゃんを尾行してきます!」


「え?」



あれ、なんだか今度は楽しくなってきた。


早速、何か顔とか私ってわからないようにするものはないかと当たりを見渡せば、目に写ったのは正に探していたサングラス。



「スナくん!それ借りてもいい?」



東のメンバー、見た目ガキ大将みたいなスナくんこと砂原瑆くんが、それをつけていた。



「え、それって……このサングラスっすか?」


「うん!このサングラスです!」


「あ、いいっすけど……。待ってください、俺の体液拭くんで」



そう言って、サングラスを外して自分の制服の袖で隅々まで拭き始めたスナくんを見て、思わず苦笑いをした。



< 290 / 324 >

この作品をシェア

pagetop