今宵、キミが砕け散る



スナくんは、よく自虐をして自分で傷ついている。見た目とは裏腹に、心はとっても繊細でピュアな男子だ。それに優しいし、面倒見もいいから一部では東のオトンなんて呼ばれている。


本人はオトンって言われるのを嫌がっているけれど、なんだかんだで楽しそうな表情をしているのをよく見る。



「はいっす。……ところで、それ何に使うんすか?」



サングラスを取ったスナくんは、子犬みたいなつぶらな瞳で私を見てきた。


ああ、お目目がかわいい。


そう言ったら、スナくんは顔を真っ赤にして両手で目をガードしてしまうから、声には出さない。


スナくん曰く、大きな体格とお目目がくりくりなのがコンプレックスらしく、だからいつもサングラスをかけているんだと。


初めのことは、誰もスナくんの素顔を見たことがなかったけど、しーちゃんにサングラスを取られて素顔を晒されて今はあまり隠していない。


たまにサングラスをつけてくることはあるけれど、それはファッションの一環で、サングラスの素晴らしさを前に力説していた。



「宵ちゃんと星くんの尾行をするから、顔を隠すのに使うの!」


「あ、そうなんすね。いってらっしゃいっす」


「うん!ありがとう、終わったら返すねー!」



流石オトン!理解力があって本当にいい人だ。きっといいお父さんになるだろうなーなんて思いながら、溜まり場に常備しているパーカーを取りに、一度恭ちゃん達がいるところへ戻る。



「あ、どうする?皆も、行く?」



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