今宵、キミが砕け散る
「星、行きたいところある?」
「うーん……。俺は、宵が行きたいところに行きたいな」
そう言って笑みを浮かべる星。目の端で、私たちを見ている人たちが何人か顔を赤らめているのが見えた。
「じゃあ、雑貨屋さんとか行きたいかも」
多分、優香がついてきてるのは私に怒ってるからな違いない。
だから、お詫びに何か優香が好きそうな可愛い物でも買ってあげようと思い、そう提案した。
星は快く頷いて、席を立つ。レジに向かえば、先程の店員がいて、星はあからさまに顔を歪めた。
「……お会計、お願いします」
「あ、お金っ」
「いーの。俺が誘ったんだし、払わせて?」
「でも、悪いから……」
「じゃあ、またデートして。それでチャラね?」
圧が凄くて、曖昧に頷けば、星は満足そうに笑った。
「1,300円になります!」
まだ媚を売る女に、図太いなとある意味感心する。
「これで」
「お釣りと、レシートです!」
「……どうも」
だんだん不機嫌になっていく星に、私は苦笑いを浮かべた。