今宵、キミが砕け散る
私たちがいたところからカフェまではそこまで遠くなくて、走って数分で着いた。
中に入って近くにいた男の店員さんに事情を説明すれば、どうやら預かってくれていたようで、すぐに見つけることができてホッとする。
カフェには都司達もう優香達の姿はなくなっていた。
……もう帰ったのかな。そんなことを思いながらカフェをでて、また走って星がいるところへ向かう。
「急がないと」
待たせちゃ悪いと思って走ってきた道を戻っていると、小さな悲鳴が耳に届いた。
その声は確かに優香のもので、私はあの時のように、その声がした方向へと走り出していた。
そこにいたのは、案の定男に囲まれて目に涙を浮かべている優香の姿。
……都司達は何してんだよ。
無意識に溢れた舌打ちに優香を囲っていた男達が私の存在に気がついて、眉間に皺を寄せる。
「よ、宵ちゃ……!」
「あれれ、もしかして君も仲間に入れて欲しい感じー?」
「いいじゃん、この女超美人。俺は喜んで奉仕しちゃうよ?」
ニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべるこいつらはきっと、優香を、東のお姫様をさらいにでも来たのだろう。