今宵、キミが砕け散る

 「……わかったよ」

 宵の頭を優しく撫る。

 「俺の、降参」

 言いたく、ないんだな。

 「あのな、宵」

 ずっと待ってるから。

 「いつでも、高校卒業しても、ここに帰って来ていいんだからな」

 バッと宵が顔を上げて、危うく頭と顎がぶつかりそうになった。

 「ホント⁉︎」

 こんなに嬉しそうにしている宵を見たのはいつ振りだろうか。

 「ああ」

 宵に釣られて、俺も頬が緩んでいた。




 
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