今宵、キミが砕け散る



「なっ……!」


足を払って倒れ込んだ男。きっとすぐに捕まえられると思っていたのか、後ろにいた男達もギョッと目を見開いている。

その先に、転がっていたバットを手に取った。だいぶ古いやつなのか、錆だらけだったけど、これなら1人でも勝てる。

バットを大きく振りかぶって、倒れている男の背中に打ちつける。


「かはっ……!」


そのままピクリとも動かなくなった男。


「っ、このクソ女……!!」


一斉に向かってくる男達の急所をバットで確実に突いていく。

腕はやっぱりあの時よりも随分と鈍っていて、小さく舌打ちを零した。


「お、前……、何者だ……!?」


痛みで声を震わせ、悶える男達をみて、少し可哀想な気持ちになった。

……そんなに、痛いんだ。

男じゃないからわからないけど、涙を浮かべる程に痛いのだと見てわかった。

これじゃあ、どっちが悪者かわからないじゃん、なんて思いながらも残りの男を見据える。




< 300 / 324 >

この作品をシェア

pagetop