今宵、キミが砕け散る
「なっ……!」
足を払って倒れ込んだ男。きっとすぐに捕まえられると思っていたのか、後ろにいた男達もギョッと目を見開いている。
その先に、転がっていたバットを手に取った。だいぶ古いやつなのか、錆だらけだったけど、これなら1人でも勝てる。
バットを大きく振りかぶって、倒れている男の背中に打ちつける。
「かはっ……!」
そのままピクリとも動かなくなった男。
「っ、このクソ女……!!」
一斉に向かってくる男達の急所をバットで確実に突いていく。
腕はやっぱりあの時よりも随分と鈍っていて、小さく舌打ちを零した。
「お、前……、何者だ……!?」
痛みで声を震わせ、悶える男達をみて、少し可哀想な気持ちになった。
……そんなに、痛いんだ。
男じゃないからわからないけど、涙を浮かべる程に痛いのだと見てわかった。
これじゃあ、どっちが悪者かわからないじゃん、なんて思いながらも残りの男を見据える。