今宵、キミが砕け散る


「優香、早くここから離れるよ」


結構時間がかかってしまったから、星が心配しているかも知れないし。それに、都司たちも、今必死に優香を探していることだろう。


「う、うん!」


優香は、帰れることに安心したように頬を緩めた。


「あれれー、もう帰っちゃうの?」


そして、一歩踏み出そうとしたとき、後ろから聞き慣れない声が耳に届いた。



「もうちょっと俺らに付き合ってくれないかなー?」



軽い感じを匂わす言葉は、どこか佐城を連想させる。でも、コイツの声は嘲笑を含んでいて、私は振り向いた。

そこにいたのは、赤い髪をした整った顔の男。その後ろに控える、ここまで変な目で見られなかったのか疑問だが、バットやら鉄パイプやら、物騒なものを持った男達。さっきよりも多い人数で、思わず眉を顰めた。




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