今宵、キミが砕け散る
吐き気がする会話に、拳を強く握りしめる。
謝っても謝りきれない、無関係の宵ちゃんまで巻き込んでしまった。もう絶交と言われても私は引き止めることが出来ないだろう。
「おら、乗れ」
やってきた黒いワゴン車。私と宵ちゃんを乱暴に乗せて、車は走り出した。
* * *
1時間か、それ以上かも知れない。もしかしたら、10分もかかっていなかったかも。
東の街並みは、私の知らない物になっている。
感覚が狂っていたからか、それくらい長い時間の様に感じて、どこか知らないところに着いた。
車の中で両手首を私と宵ちゃんは縛られて、自由に動かすことが出来ない。
それに、宵ちゃんはまだ目を覚ましていない。流石に血はとまっていて安心したけれど、鉄パイプのような固い物で強く額を殴られていたようで、前髪の隙間から見られる傷は痛々しい。
女の子なのに、なんでこんなことができるのか、彼らがわからなかった。
これが北なのだと、まるで未知の世界の人々に出会ったように感じた。