今宵、キミが砕け散る
「ごめん、ごめんね宵ちゃんっ!」
私が余計な事をしなければ、後ろからくる鉄パイプなんかで殴られて一生残るかも知れない傷だって負わなかったんだ。
きっとそのくらいなら、宵ちゃんは避けれた筈なんだ。
「ごめっ……ごめ、ん、」
嗚咽が混じって上手く声が出せない。
ただ、嫌われたくない。
そんな思いが自分勝手にも湧き出てしまう。
「……優香」
顔を上げると、微笑む宵ちゃんがいて。
「大丈夫だよ」
その一言だけで、許されたような気がして、なんだか心が軽くなった。
「大丈夫だから……ね?」
私は何度も頷いた。痛みなんて感じて無いように、いつものように綺麗に笑っている宵ちゃんに心から救われた様に感じた。
やっと泣き止んだ私は、そっと宵ちゃんから離れた。
「さてと、まずはここから出ないとね」
「でも……、どうやって?」
ここは窓もないし物も無い。
埃臭い部屋は、まるで牢屋のようだ。