今宵、キミが砕け散る
ただ1つ、天井からぶら下がる小さな蛍光灯が私たちの視界を明るくしていた。
「あ、あった……」
不意に聞こえた呟きに、なんだろうとその視線の先を追えば、格子のついた排気管らしき穴が壁にあった。
「え、宵ちゃん?」
私の予想が合っていれば、きっとリアルにミッションインポッシブルみたいにあの穴の中を這って外に出るということだろうか。
案の定、宵ちゃんは格子のネジを外せるものがないか、部屋をキョロキョロと見渡している。
ドライバー、ないよね。そりゃ。
もしあったら、どうぞお逃げ下さいって言ってるようなものだもん。
「あ、宵ちゃん!これ使って!」
はっと思い出して、私はポケットからお金を取り出した。幸運なことに、1円玉から100円玉まで揃っている。
よかった。今日は宵ちゃんいなくて暇だったから、授業中にコンビニで買い物をしてお釣りをポケットに突っ込んだままで。
ちょっと過去の自分に感謝しつつ、それを手渡す。
私達の鞄は、男の人達に絡まれてる時に落として来ちゃったから携帯で助けを呼ぶことは出来ないけど、これならネジを開けることができるかもしれない。