今宵、キミが砕け散る
「ありがと」
結構高い位置にある排気管は私では届かなそうだけど、背の高い宵ちゃんなら届きそうだ。
早く人が来る前に、と宵ちゃんは器用にネジを回し始めた。
それは上手くいったようで、あっという間に全てのネジが外れて格子が取れた。
「よし。優香、持ち上げるからあの中入って」
「う、うん!わかった!」
排気口の前に立てば、宵ちゃんが私の腰を掴んで持ち上げた。
入口に手を掛け、中を除けばギリギリ人1人が入れそうな空間が真っ直ぐ広がっている。
ただ少し薄暗く、虫か出てきそうな雰囲気にたじろぐ。
「いける?」
「う、うん!」
ぐっと腕に力を入れて、その中に体をねじこませようとしたその瞬間。
———ガチャ
何の音沙汰もなく、重い扉が開いた。