今宵、キミが砕け散る

 「で、キミの名前は何かな?」

 彼はどうしても私に名前を言わせたいらしい。

 「琴瀬宵だよ」

 なんの感情もこもってない無機質な声が、やけに自分の耳に残った。

 「んじゃ、宵ちゃんって呼ぶね」

 「じゃ、私は星って呼ぶ」

 「ちょ、ちょっと待って!誰、お前!?」

 ずっと後ろでポカーンと口を開けていた星の幼なじみがものすごい勢いで詰め寄る。

 「え、誰って琴瀬宵ちゃんだよ?」

 「ちげぇよ!お前だよ!」

 星は何言ってんの?と、言いたげな冷ややかな視線を送るも、幼なじみに一蹴される。

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