今宵、キミが砕け散る

 結局その日は、教室にすら行かず、ずっと恭ちゃんに抱き締められていた。

 「帰るか」

 恭ちゃんのその一言で、皆が立ち上がった。

 「もう?」

 しーくんは不思議そうにしながらも、読んでいた漫画を棚に戻した。

 「今日は優香と汐梨の入学式祝いするからだよ」

 芹くんの言葉に私達は目を輝かせた。

 「ケーキもあるぞ」
 「!!」

 楽しみすぎて、スキップしそうだ。

 私達は5人で溜まり場を出た。


 校門に差し掛かると見覚えのある後ろ姿が見えた。


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