今宵、キミが砕け散る
私の、恩人。
「宵ちゃーーーーん!!」
自分でもびっくりする程大きな声が出た。
一緒に歩いていた恭ちゃん達も驚いている。
宵ちゃんがゆっくり振り返る。
「優香?」
息を、飲んだ。
全てが作り物のように美しくて、同じ人間とは思えない。
背中まである宵ちゃんの長い髪が風に靡く。
「宵、ちゃん?」
あの時はフードで顔が見えなかったけれど、初めて見た宵ちゃんはすごく綺麗だった。
「っ!」
走り出していた。
数メートルさきにある宵ちゃんに向かって、タックルする勢いで抱きついた。
それを軽々、彼女は受け止めてくれた。