今宵、キミが砕け散る

 「宵ちゃん!」
 「うん、そーだよ」

 ふわり、甘い香りが漂ってくる。安心する、心が休まるような、そうな良い香り。

 「良かった。もう、大丈夫なんだね」

 優しく頭を撫でてくれる。

 「うん!あの後ね、恭ちゃんたちが来てくれたから!!」

 そっか、そう言って笑った宵ちゃんにを見て、本気で心臓が止まるかと思った。

 「よ、宵ちゃん……」

 急にドギマギし出した私を見て不思議そうに首を傾げる宵ちゃん。

 その姿も様になっていて、美形は罪だなぁ、としみじみ思った。

 ……って、そうじゃない!

 「宵ちゃん!あのね、」

 




 
 
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