今宵、キミが砕け散る
「ありがとね……」
入学手続きも、学費も払ってくれているのは嶺緒だ。
何から何までお世話になっていて、少し申し訳なく思う。
「はは、いーっての。ガキは甘えとけ」
本当に嶺緒と家族ならいいと、本気で思ってしまう時がある。
それならきっと、幸せで。
私が求めて止まない、求めてはいけない幸せだと思う。
最近平和ボケしているせいか、自分の性格が丸くなったような、変わったような気さえする。
前はこんなに笑わなかった。
前はこんなに喋らなかった。
前はこんなに、幸せに縋っていなかった。