今宵、キミが砕け散る
皇 嶺緒 side

 昔から、どんどん置いていかれているような気がしていた。

 俺だけが分からなくて、分かろうと必死で、底なしの沼にハマって行くような気分だった。

 無性愛(asexuality)

 ネットで調べて、その言葉が出てきた時、ああ、そうだったんだ。と、すんなりと納得する自分がいた。

 人を好きにならない。

 それは家族や友人でさえも、例外ではなかった。

 それなのに嫌いという感情がわかってしまうのが、余計に嫌で嫌で堪らない。

 何がなんだかわからなくなって、中学を入学してから随分と経つ頃には、いわゆる不良という立ち位置に立っていた。



 
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