今宵、キミが砕け散る

 イラついた。

 ただ、イライラが治らない毎日が続いていた時だった。

 それを治めようと、殴って殴って殴りまくった。

 「お前が、最近暴れてる皇嶺緒って奴か?」

 この前、3年の先輩を一気に相手してからは、誰も近づかない、話しかけないで、その方が楽だと気づいた。

 ただブラブラとして、このイライラを喧嘩で吹き飛ばしたかった。

 喧嘩している間は、何もかも忘れられた。

 ただ、飛び散って行く血を浴びるように拳を振り上げるだけだった。

 「……」

 大柄な男が5人。

 俺の前に立ち塞がった。

 「テメェ、無視すんじゃねぇよ!」

 顔面に迫ってくる拳を、軽々と避ける。
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