今宵、キミが砕け散る
「……は?」
何言ってんだ、この男。
「ふはっ、アホ面」
最初の無表情な顔とは打って変わって、眩しい笑顔をしていた。
「東、」
「……?」
「西、北、南」
この時、俺はコイツの思考を一生理解できないと思った。
「皇」
……皇?
「お前にピッタリだな。皇嶺緒」
* * *
「ここだ」
なんの意味も理解できないまま、俺は腕を引っ張られながら男の後を着いていった。
「ここ……」
俺ですら、知っている。
いや、きっと知らない人はいないだろうと断言出来るほど、ここは有名な場所だった。