今宵、キミが砕け散る

 「嶺緒、東に入れよ」

 でも、おあいにく様俺は、

 「遠慮しておく」

 1人でいい。

 その方が、なんの感情も湧かなくて楽なんだ。

 早くここを出ようと、設楽流羽に背を向けた。

 「……お前、」

 だからもう、これ以上。

 「寂しいのか?」

 俺の心を、掻き乱さないでくれよ。

 「……、は?」

 勢いよく振り向く。

 「人と違うのが、そんなに寂しいか?」

 全てを見透かしてしまいそうな、真っ直ぐな、それでいて暖かい目をしていた。

 寂しい?

 俺が?
 


 
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