今宵、キミが砕け散る

         * * *
 
 「ーー嶺緒」

 「んあ?何?」

 不意に名前を呼ばれて瞑っていた目を開けた。

 「いや、お前がラーメン食いに行くっつたんだろ」

 「あー、そーだっけか?」

 ヤスは手を額にあてて、「ダメだコイツ……」と呟いた。

 聞こえてるぞ、と軽く蹴ると大袈裟に痛いと言うから無視して立ち上がった。

 「嶺緒さん、何処行くんすか?」

 「ラーメン」

 「おおおおおれ!めっちゃ美味いラーメン屋知ってます!」

 俺に群がる男達に尻尾が生えて見えて、気持ち悪くて目を擦った。

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