今宵、キミが砕け散る

 「遅かったな、宵」

 涼しげにお茶飲んでいる嶺緒を蹴り飛ばしたい衝動に駆られる。

 「新作スイーツは買えたか?」

 ……あ。

 最悪だ。

 「買い忘れたぁ……!」

 私が項垂れていると、上から笑い声が聞こえた。

 「ははっ、買い忘れたのかよ」
 「もっかいいってくる」

 開店まで後5分もないけど、大丈夫だろう。

 「は?もう開店するんだぞ⁉︎」
 「いって来まーす」

 嶺緒の声を無視して、またスーパーへと歩き出した。
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