2番手の俺がキミのヒーローになる物語
30分ほど歩き、前から奈緒、新、俺、香坂さんの順番で進んでいた。
「なかなか動物と会えないねー」
「そうだねぇ」
奈緒と新が周りを見ながら話す。
「あっ」
すると後ろにいた香坂さんが声をあげた。振り返るとしゃがみ込み、解けた靴の紐を結んでいた。
俺は立ち止まり香坂さんが結び終わるのを待つ。
「2人ともちょっと待って...」
「あっ!たぬき!」
「えっ!どこ!?」
前にいる2人は俺の声をかき消し、走っていく。
「おい!」
俺の声は届くことなく足の早い2人の姿はすぐ見えなくなってしまった。
「...まじか」
「ごめんね。もう大丈...あれ?」
俺たちは2人が居なくなった前方を呆然と見る。
「2人は...?」
心配してオロオロしている香坂さんの横で俺はため息をつく。
「2人とも異常な早さでどっか行っちゃったよ」
「ご、ごめんね。私が止まってたから...」
「いや大丈夫。逸れたらゴール付近で会おうって話したし2人も分かってるでしょ。俺たちはゆっくり行こう」
「う、うん...」
まだ心配な気持ちはありそうだったが、俺の動じない姿を見て香坂さんもゆっくり歩き始めた。
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