2番手の俺がキミのヒーローになる物語
そんな話をしているうちに花屋についた。
「何の花が欲しいんだ?」
「えーっとねー綺麗なお花〜」
「家に飾る花なの?」
「お父さんにあげる花なんだ〜」
俺は花屋にあるポップに父の日へのプレゼントにどうですか?と書いてあるのを見つける。由香は父の日用のプレゼントを買いに来たのだろう。
「由香ちゃんがあげる花ならお父さんきっと喜ぶね」
「そうだと良いなぁ〜」
香坂さんと由香の会話を横目に俺は気になる花を手に取っていく。花屋に来たことは初めてだったが、沢山並ぶ花はとても綺麗に見えた。
ピンクのガーベラを手に取った所で由香が話しかけてきた。
「綺麗だね〜」
「あぁ、ガーベラだって」
「良いなぁ〜コレにしようかなぁ」
由香は嬉しそうにガーベラを数本手に持つ。そして花の匂いをほんのりとかぎ、笑顔で俺の方を向く。
「うん!これにする」
元気にそう言って会計しにいった。
「決まってよかったね」
「あぁ、あとは家までちゃんと送り届けないとな。また迷うかもしれないし」
「天樹くんは優しいね」
「ん?そうでもないよ」
「ううん、すごく優しい。すごく素敵な人だと思う」
香坂さんのあまりに真っ直ぐな言葉を言われ、思わず照れてしまった。
何も答えることができない俺の下へ由香が買った花を持ちながら来た。そのことに少し安心しつつ俺たちは店の外に出る。
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