2番手の俺がキミのヒーローになる物語
真白先輩が奈緒を好きだということを知った俺は落ち着いていられなかった。てきとうに街中を歩いていると、部活帰りの奈緒に会った。
「あ、蓮都」
「...奈緒」
「どうしたの?ボーッとしてるけどなんかあった?」
心配してる顔で俺の方を見る奈緒。その顔に愛しさを感じる俺はやっぱり奈緒のことが好きだった。
「...いや、なんでもねぇよ」
「...ふーん」
奈緒はそれ以上何も聞かず、横に並んで歩く。いつも楽しく話すのに、相手が話したくないことがあると感じると途端に静かになる。無闇に聞いてこない奈緒の隣は居心地が良かった。
「今日も走ってきたよ」
「そっか。調子はいいのか?」
「うん!タイムも上がってた」
何気ない会話を始める。俺の隣には笑顔で話す奈緒。
幼い頃からずっと隣で歩いてきた。でも奈緒が隣にいて欲しいと思うのは...奈緒が好きな人は...そんなことを考えると胸が苦しくなった。
「...蓮都?」
「...奈緒は真白先輩のことが好きか?」
瞳を真っ直ぐ見て、真剣に言う。奈緒は驚いた顔をした後、すぐ照れくさそうに答えた。
「うん、好きだよ」
分かりきっていた答え。奈緒の気持ちと真白先輩の気持ちを知る俺がとるべき行動は引き下がることなのかもしれない。
「急に聞いてきてビックリするじゃん」
へへっと嬉しそうな顔をする奈緒に心が痛み、俺は足を止める。奈緒は笑いながら軽やかに歩いていく。
「今日もちょっと話せたんだよ。先輩相変わらずカッコよくて...」
嬉しそうに先輩とのことを話すその声に辛くなる。奈緒が俺の隣から離れていく。
嫌だ。奈緒の隣にいるのは俺がいい。
いま奈緒の手を掴まなければ、奈緒は先輩の元へ行ってしまう。
奈緒を渡したくない。
「俺...奈緒のこと...」
俺の気持ちを伝えようとしたその時だった。
「危ない!」
大きく聞こえてきた男の声。その声の方を見ると車が奈緒の方に向かってきていた。このままでいけば車は奈緒にぶつかる。
「奈緒!」
咄嗟に動いた俺は奈緒を突き飛ばした。驚く奈緒の顔が瞳に映る。そしてすぐき俺の身体に強い衝撃が走る。車が俺にぶつかったのか。そんなことを冷静に思えてしまう自分がいた。
「れ...んと...?」
かすかに奈緒の声が聞こえる。
周りの人も騒ついて「救急車!」と叫んでいるような気がする。
俺が今どうなっているのか見ようにも身体が動かない。奈緒に声を掛けたいのに声が出ない。
でも俺は奈緒を助けられたのかな...。良かった...。
心の中でそう思い、俺はそのまま意識を失った。
「あ、蓮都」
「...奈緒」
「どうしたの?ボーッとしてるけどなんかあった?」
心配してる顔で俺の方を見る奈緒。その顔に愛しさを感じる俺はやっぱり奈緒のことが好きだった。
「...いや、なんでもねぇよ」
「...ふーん」
奈緒はそれ以上何も聞かず、横に並んで歩く。いつも楽しく話すのに、相手が話したくないことがあると感じると途端に静かになる。無闇に聞いてこない奈緒の隣は居心地が良かった。
「今日も走ってきたよ」
「そっか。調子はいいのか?」
「うん!タイムも上がってた」
何気ない会話を始める。俺の隣には笑顔で話す奈緒。
幼い頃からずっと隣で歩いてきた。でも奈緒が隣にいて欲しいと思うのは...奈緒が好きな人は...そんなことを考えると胸が苦しくなった。
「...蓮都?」
「...奈緒は真白先輩のことが好きか?」
瞳を真っ直ぐ見て、真剣に言う。奈緒は驚いた顔をした後、すぐ照れくさそうに答えた。
「うん、好きだよ」
分かりきっていた答え。奈緒の気持ちと真白先輩の気持ちを知る俺がとるべき行動は引き下がることなのかもしれない。
「急に聞いてきてビックリするじゃん」
へへっと嬉しそうな顔をする奈緒に心が痛み、俺は足を止める。奈緒は笑いながら軽やかに歩いていく。
「今日もちょっと話せたんだよ。先輩相変わらずカッコよくて...」
嬉しそうに先輩とのことを話すその声に辛くなる。奈緒が俺の隣から離れていく。
嫌だ。奈緒の隣にいるのは俺がいい。
いま奈緒の手を掴まなければ、奈緒は先輩の元へ行ってしまう。
奈緒を渡したくない。
「俺...奈緒のこと...」
俺の気持ちを伝えようとしたその時だった。
「危ない!」
大きく聞こえてきた男の声。その声の方を見ると車が奈緒の方に向かってきていた。このままでいけば車は奈緒にぶつかる。
「奈緒!」
咄嗟に動いた俺は奈緒を突き飛ばした。驚く奈緒の顔が瞳に映る。そしてすぐき俺の身体に強い衝撃が走る。車が俺にぶつかったのか。そんなことを冷静に思えてしまう自分がいた。
「れ...んと...?」
かすかに奈緒の声が聞こえる。
周りの人も騒ついて「救急車!」と叫んでいるような気がする。
俺が今どうなっているのか見ようにも身体が動かない。奈緒に声を掛けたいのに声が出ない。
でも俺は奈緒を助けられたのかな...。良かった...。
心の中でそう思い、俺はそのまま意識を失った。