2番手の俺がキミのヒーローになる物語
俺の入院生活が始まった。基本寝ているだけの生活は暇だと思った。
そんな俺の楽しみは毎日放課後に見舞いに来てくれる奈緒の存在だ。
「はい、これ。好きなゼリー」
「あぁ、ありがと」
幼い頃から一緒にいる為、俺の好きなものは何でも知っている。何も言わずとも俺の好きな食べ物を届けてくれた。
「今日は数学で先生に当てられてさー。分かんなくて焦ったよー」
奈緒はその日あったことを楽しく話す。俺はその話を聞く時間が好きだった。
しかし俺には気になることがあった。
「部活は出なくていいのか?」
毎日午後5時頃に病院に来る奈緒が、部活に出ていないことは明らかだった。奈緒は表情を変えず答える。
「うん。顧問に事情話したら当分の間休んでいいって。だから大丈夫」
「...そっか」
「今は蓮都の傍にいたいから」
優しい顔をして言う奈緒。そう言ってくれるコトが嬉しかった。
大怪我をした今なら奈緒の好意に甘えても罰は当たらないだろう。俺は素直に「ありがとう」と伝えた。
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