2番手の俺がキミのヒーローになる物語
放課後になり、俺は運動場を眺める。そこでは陸上部が練習をしていた。
俺の目線の先には奈緒と楽しそうに話す先輩がいた。
「あの人の前だとそういう顔になるんだよな…」
俺は中学1年生の時のことを思い出す。
「一緒に陸上部入らない?」
どの部活に入るか悩んでいた俺に奈緒はそう言ってきた。特に断る理由もなかった俺は奈緒と一緒に陸上部に仮入部した。
「それじゃあ短距離希望の人は向こうに行ってください」
奈緒は短距離希望のため、俺もついていった。
「まず試しに50メートル1本走ってもらおうかな」
先輩にそう言われ1年生が列を作る。俺の後ろに並んだ奈緒はそっと俺に話しかける。
「頑張ってね」
「お、おう」
不意に言われ、胸が高鳴った俺はそう答えることしか出来なかった。
そうして俺は50メートルを走った。同時に走った5人中4番目にゴールするという良くはない成績を出し、陸上部に入るか迷いつつ奈緒が走ってくるのを待った。
奈緒は軽やかに走り、一番にゴールした。俺が奈緒の下に行こうとした時それは起こった。
「君綺麗なフォームだね」
「え、あ、ありがとうございます」
奈緒に話しかけたのは2年の先輩だった。
「一緒に走ったら楽しそう。ぜひ陸上部に入ってほしいな」
まるで太陽のような笑顔で話す先輩。
奈緒は真っ直ぐ先輩の顔を見つめていた。
俺はその時初めて好きな子が誰かを好きになった瞬間を見てしまった―...。
俺は結局陸上部には入らず、奈緒だけが入部した。そして嬉しそうな顔をして話しかけてきたときには必ず好きになった先輩、真白爽先輩の話をした。今日は話せたとか、走る姿がカッコいいとか...。その度に俺の心が痛い思いをしていることなど真白先輩のことで頭がいっぱいの奈緒が気づくはずもなかった。
そして奈緒は真白先輩を追っかけて今の高校に入り、陸上部にも入部している。
「帰るか」
小さな溜息をつき、俺は家へ向かった。
俺の目線の先には奈緒と楽しそうに話す先輩がいた。
「あの人の前だとそういう顔になるんだよな…」
俺は中学1年生の時のことを思い出す。
「一緒に陸上部入らない?」
どの部活に入るか悩んでいた俺に奈緒はそう言ってきた。特に断る理由もなかった俺は奈緒と一緒に陸上部に仮入部した。
「それじゃあ短距離希望の人は向こうに行ってください」
奈緒は短距離希望のため、俺もついていった。
「まず試しに50メートル1本走ってもらおうかな」
先輩にそう言われ1年生が列を作る。俺の後ろに並んだ奈緒はそっと俺に話しかける。
「頑張ってね」
「お、おう」
不意に言われ、胸が高鳴った俺はそう答えることしか出来なかった。
そうして俺は50メートルを走った。同時に走った5人中4番目にゴールするという良くはない成績を出し、陸上部に入るか迷いつつ奈緒が走ってくるのを待った。
奈緒は軽やかに走り、一番にゴールした。俺が奈緒の下に行こうとした時それは起こった。
「君綺麗なフォームだね」
「え、あ、ありがとうございます」
奈緒に話しかけたのは2年の先輩だった。
「一緒に走ったら楽しそう。ぜひ陸上部に入ってほしいな」
まるで太陽のような笑顔で話す先輩。
奈緒は真っ直ぐ先輩の顔を見つめていた。
俺はその時初めて好きな子が誰かを好きになった瞬間を見てしまった―...。
俺は結局陸上部には入らず、奈緒だけが入部した。そして嬉しそうな顔をして話しかけてきたときには必ず好きになった先輩、真白爽先輩の話をした。今日は話せたとか、走る姿がカッコいいとか...。その度に俺の心が痛い思いをしていることなど真白先輩のことで頭がいっぱいの奈緒が気づくはずもなかった。
そして奈緒は真白先輩を追っかけて今の高校に入り、陸上部にも入部している。
「帰るか」
小さな溜息をつき、俺は家へ向かった。