2番手の俺がキミのヒーローになる物語
夜、病室の窓から夜空を見る。雲もなく、綺麗な星が見えた。
俺は奈緒の優しく笑った顔を思い出す。
「ははっ...」
乾いた笑いが溢れる。幼い頃から一緒にいた奈緒。そんな彼女の笑顔は何回も見てきた。だから昼間の笑顔が必至に作った笑顔だということはすぐに分かった。
「傍にいたいから...か...」
奈緒の言葉を呟く。すると目から涙が溢れる。俺はその涙を手で拭う。
「嘘つき...」
奈緒は傍にいたいと思って、病院に毎日来ているわけではない。
怪我をさせた罪悪感から傍にいなければいけないと思って、病院に来ている。
奈緒の真意、そして俺の傍にいたら奈緒の罪悪感が消えることはないと分かってしまった。結果的に俺は奈緒を苦しめていることに涙が止まらなかった。
奈緒が好きだから、奈緒を幸せにしたいから俺は傍にいる。
でも、奈緒を苦しめる存在が俺自身だった時どうすれば良い...?
「ははっ...」
俺はまた乾いた笑いを溢す。
いつも迷って行動することができないのに、今は自分でも驚くくらいすぐに答えを出していた。そんな自分を嘲笑いつつ、少し誇っていた。
< 40 / 42 >

この作品をシェア

pagetop