良子ちゃんと私
トンネルが開通したらしい。

喜ぶ声が聞こえる。

私の視界はぶんぶんと揺れる。

よほど嬉しいのだ。

ああ、良かった。

私は嬉しい気持ちになった。


それから暫くして。

「良子ちゃん」

大人の女の人の声である。

「さ、行きましょう。お父さんが待っているわよ」

良子ちゃんはお父さんが大好きだ。

だからとても喜んだ。

あまりに嬉しすぎて、手に持っていた私を放り投げてしまった。

私は泥に顔から突っ込んだ。

何も見えなくなった
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