シニアトポスト
橋下 翼
──明日なんてもう二度と来なければいいのに、
もう何度そう思ったことだろう。生きる希望を失った僕に、これ以上この世界に対する思入れなんてあるはずがない。来る日も来る日も、まるで生きる屍のような生活を送る僕が生きている意味はあるのだろうか。
最愛の彼女──莉乃が死んだのは、今から2年前のことだった。
《――もしもし翼くん?今、どこにいる?》
当時、僕は大学1年生だった。莉乃は一つ上の、高校時代の部活の先輩だった。
高校2年生の時に、彼女の持つ柔らかな雰囲気とオーラ、それからキラキラした可愛らしい笑顔に惹かれて告白をした。ありがたいことに、彼女の方も僕のことを好きだと言ってくれたので、その日から僕と莉乃は“恋人同士”になった。
部活帰りに一緒に帰ったり、文化祭を一緒に回ったり、“恋人同士”の青春はそれなりに楽しんでいたと思う。
大学は別々のところに通っていたけれど、お互い地元にいるので講義が終わった後に待ち合わせをしてデートをしたり、休みの日はどちらかの家でゴロゴロしたりと、相変わらず円満に恋人としての関係を続けていた。
この幸せな日々がこれからも当たり前に続くと、僕は信じていた。