シニアトポスト
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あたりはすっかり真っ暗だった。
駅に近づくにつれて活気が増していく。
いつもなら、仕事が終わるとまっすぐ家に帰るようにしているけれど、この日はいつもに増して仕事の疲労感に襲われていて、今すぐ胃に何かを入れないと家にたどり着くまでにぶっ倒れてしまいそうだ。
パンプスを鳴らしながら、あたしは最寄り駅のはずれにある喫茶店へと向かった。
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店内は落ち着いた雰囲気のレトロな造りになっている。店内に入ると、白い髪に黒い髭を生やしたダンディなマスターが「いらっしゃい」と柔らかい笑顔で迎えてくれた。
ここは、幼い時から母親によく連れてきてもらった行きつけの喫茶店だった。
あたしが中学生になると同時に引っ越してしまってからは暫くの間来ていなかったけれど、大学進学を機にあたしはこの街に戻ってきたので、月に何回かは顔を出すようにしていた。
「藍ちゃん、今日もオムライスでいいのかい?」
「うん。ありがとうマスター」
あたしの返事を聞いて、マスターは「すぐにできるよ」と言って微笑む。マスターが作る特製デミグラスソースのかかったオムライスは絶品で、昔からずっとあたしの大好物なのだ。