シニアトポスト
加賀野 夕
大学の食堂で向かい合って座る俺と、おまえ。
頭を抱えるおまえは、買ったばかりのカツカレーを食べながらしきりにため息をついている。
高校の頃から毎日顔を合わせていたけれど、おまえがこんなふうになるのは初めてみたから、スルーしようにもできなかった。一人じゃ正解が見つからないなにかがあったんだろうな、と思いながら「うるせーぞさっきから」と声をかけたのが、その日の会話の始まりだった。
「加賀野(かがの)…俺、間違ったかなぁ」
「はあ?何を」
「女の子、…泊めたんだけど、」
「は」
「いや!手は出してない!その時は!」
「その時はって、」
「…朝、起きたとき。完全にシラフの状態で、…手出しちゃった」
「はぁ!?」
「あああ、だよなぁ。俺やばいよなぁ」
「ちょ、おい、その話詳しく」
「かーがーのー…」
「お前ほんと、なにやってんだよ…」
――ああ、
俺がおまえにかけた最期の言葉もそうだったよな、春野。