シニアトポスト





双子の妹ーーー莉乃が死んだのは2年前のことだった。


ある冬の日、顔も名前も知らない理不尽な通り魔に、彼女は殺された。家族も友達も恋人も、皆が莉乃の死を悲しんだ。


───ただ、ひとりを除いては。





莉乃と私は生まれた時からずっと一緒だった。


双子だった私たち。幼少期に着せられた洋服はどれもお揃いだった。私はピンク、莉乃は黄色というイメージカラーのようなものが、母親の中では決まりつつあったのだと思う。


ピンクは嫌いではなかった。
けれど、どちらかというと青の方が好きだった。



それに気づいたのは小学生の時。


図工の時間、“好きな色を使って自由に絵を描きましょう”と言われ、私は青や水色の絵の具をふんだんに使い、画用紙いっぱいに青空を描いた。

その当時の季節は夏だったこともあり、オレンジ色の太陽と向日葵を隅の方に細々と描いた。あくまでもその時の私のとって主張したいのは青だったゆえのことだ。



学校の先生に、「莉央ちゃんは青色が好きなんだね。綺麗な空だねぇ」と褒められた。


青が好き。確かにそうかもしれない。

真っ先に青の絵の具をパレットに広げた。無意識だったけれど、私が描いた絵に、ピンクや赤はひとつも使われていなかった。



清々しいほどの青。

私は、出来上がったその絵をとても気に入った。


< 40 / 81 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop