シニアトポスト
しばらくして、私の絵は市が主催するコンクールにクラスの代表として出されることになった。それまで、これと言って自分の良さを見いだせずにいた私にとっては喜ばしいことだった。
クラスが違う莉乃には、なんだか恥ずかしくて言えなかった。
母親は仕事で忙しそうにしていたので、小学生ながらに何かを諦めていて、同様に何も言わなかった。
学校で表彰式があった日、私は風邪をひいて学校を休んだ。ついてないなぁと思いながらも、もともと人前に出ることが苦手だったので、心のどこかで安心している部分もあった。
それから一週間ほどたった時、職員室の前にコンクールの入賞作品が飾られてあるのを見た。
そこには私の作品もあって、自然と頬がゆるんだ。
飾られてある絵にひとつひとつ目を通す。上級生の作品はやっぱりすごく綺麗だなぁ…なんて そんなことを思っていた私の瞳は、あるひとつの絵に捕らわれた。
《最優秀賞》と書かれた一枚の絵。
画用紙目いっぱいに広がるひまわり畑。多様な黄色と繊細なタッチで描かれたそれ。私の青空なんて比にならない。自分が佳作だったこともうなずける。
タイトルは“大好きな色”。
その下にあった名前を見て、私は、その場に立ち尽くして動けなくなった。
───3年3組 保坂 莉乃