シニアトポスト
私はピンクで、莉乃は黄色。母親の趣味で着せられたと思っていた服の色を、莉乃は“大好きな色”だと言っている。
対して私は、ピンクを一つも使わなかった。綺麗だと褒められた青空が、その時はひどくかすんで見えた。
莉乃が入賞していたことを私は知らなかった。
私は“なんだか恥ずかしいから”と言う理由で莉乃には何も言わなかったけれど、莉乃は「別にいうほどのことでもないと思った」と言った。
佳作と最優秀賞。
差は歴然だったのに、莉乃はそれを喜ばない。澄ましているとかでもなく、ただ本当に、“授業で描いた絵が選ばれただけ”と認識していて、私はぎこちなく笑うことしかできなかった。
ずっと一緒に生きてきて、何もかも同じだと思っていたはずの莉乃に劣等感を感じたのはそれがはじまりだったのだと思う。
私と莉乃の相違点は、性格と才能だった。
莉乃は雰囲気が柔らかくて、笑顔が良く似合う。人に優しく、話を聞くのが上手だった。時々頑固な一面も見せるけれど、それは決して周りを不快にさせるものでは無かった。
私は、人見知りが激しくて、そんなつもりがなくても「睨んでいる」とか「私のこと嫌いそう」とか、人にマイナスイメージの誤解を与えてしまうことが多かった。
学校の人も親戚の人も、口を揃えて「莉央ちゃんも、莉乃ちゃんのこと見習えばいいのにね」と言った。
そしてそれは、学年を重ねるにつれて言われる機会が増えた。