シニアトポスト
けれどその日、僕の小さな予定が実行されることはなかった。
僕が次に彼女と会うことができたのは、あの電話から3日経った日の出来事だった。あれが最後の電話になるなんて、───最期の会話になるなんて、だれが想像できたというのだろう。
薄暗い部屋に閉じ込められた彼女のそばには、弱弱しくろうそくが灯っていた。
大きな猫目は閉じられていて、もう開くことはなかった。長いまつ毛がやけに綺麗に見える。いつもの何倍も白い肌に、冷たくなった身体。目の前で眠る彼女を、僕の力で温めることはもう不可能だった。
もう二度と、彼女の声で僕の名前が紡がれることはない。
もう二度と、彼女の温もりを感じることはできない。
もう二度と、彼女が目を覚ますことはない。
僕の大切な人の命は、こんなにも呆気なく奪われてしまった。