シニアトポスト





彼女の遺体は、僕と最後に待ち合わせをした駅からそう遠くないゴミ置き場に捨てられていた。彼女の服は乱れていて、首にはひっかき傷のような跡と締め付けられた跡があったと、警察の人が言っていた。


彼女の遺体が見つかった後、犯人はすぐに見つかった。この近くに住む30代の男性だった。仕事でストレスを抱え、人生をあきらめ自暴自棄に陥り、だれでもいいから殺したかったと犯人は供述したそうだ。



彼女は、死体となって僕のもとに帰ってきた。僕と電話をして、駅について僕を待つわずか数分で、見知らぬ男に未来もろとも殺されたのだ。




犯人が憎い。殺したい。

けれど同時に、彼女を一人にさせてしまった自分に対して激しい後悔と嫌悪を抱いた。


僕が彼女を歩かせなければ。
僕がもっと早く迎えに行けていれば。



行き場のない感情は僕を苦しめ、彼女がいなくなった僕の毎日からは光が消えた。



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