造園家は御曹司に求婚される2
「わざわざいつも迎えに来なくていいのに……。普通、デートって駅で待ち合わせとかだろ?」

あたしがそう言うと、財前さんは「俺がしたいからいいの!」と言いあたしの肩に腕を回す。財前さんは歩く時、あたしの手を握ったり体に必ず触れる。もうこの感触が当たり前になってしまった。

「柚子がナンパとかされてるの見たくないし……」

「そんなことする物好きがいるわけないだろ、馬鹿!」

心配げな顔をする財前さんにあたしはそう言い、家の前に止められている車に乗り込む。女の子扱いされていることに対して、ドキドちゃってる。顔が赤いの、バレたくないな……。

「デートってどこに行くんだ?」

あたしが訊ねると、「いいところ」としか財前さんは言わない。ついてからのお楽しみってやつだろう。あたしは仕方なく窓の外を流れる景色を楽しむことにした。

一時間ほど揺られ、あたしが連れて行かれたのは港だった。そこには巨大な船が一隻止まっている。この船、豪華客船として人気の船じゃ……。
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