最後の一夜が授けた奇跡
「買ってきたやつしまってくる。」
律樹が立ち上がりキッチンへ向かったのを見て、私もベッドからでる。

『ガタンッ』
急に立ち上がったせいかひどい立ち眩みに思わずしゃがみこんで、脛を机に思い切りぶつけてしまった。
「季里っ!?」
慌ててキッチンから律樹が駆け寄ってくる。
「大丈夫か?」
「・・・うん・・・」
視界がゆがんでひどい耳鳴りがする。
完全に貧血だ。
「動けるか?」
「ちょっと・・・無理・・・」
動けずうずくまる私の体を律樹が抱え上げてベッドに戻してくれる。

「お腹は?痛まないか?」
「・・・お腹は平気・・・ただの貧血・・・」
「なんか飲むか?」
「・・あったかいの飲みたいな」
「了解」
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