最後の一夜が授けた奇跡
ベッドに私をのこして慌てながらキッチンへ向かう律樹。
「あちゃー」
「どうしたの?」
キッチンから声がして律樹の方を見ると律樹が買い物袋を持ち上げていた。
「焦って落っことしちゃった」
落とした買い物袋の中に入っていた卵が見事に割れているのが私の場所からも見えた。

「今夜は卵たっぷりのうどんだな」
「いいねー。」
そんな会話をしていると律樹が温かいレモン水を持ってきてくれた。

「仕事の合間に調べたらカフェインがあんまりよくないらしいんだ。それでこれ買ってきた。」
「調べてくれたの?」
「あぁ。」
「ありがとう」
私はベッドの上で温かいレモン水を口にする。
「おいしい」
口の中がさっぱりとする味。
温かさが全身にしみた。
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